井戸掘り

読み返している村上春樹の１冊に「村上春樹、河合隼雄に会いに行く」がある。

二人の対談集なのだが、興味深い一説が書いてあった。以下引用。

河合　ぼくもいま、ある原稿で夫婦のことを書いているのですが、愛し合っているふたりが結婚したら幸福になるという、そんなばかな話はない。そんなことを思って結婚するから憂うつになるんですね。なんのために結婚して夫婦になるのかといったら、苦しむために、「井戸掘り」をするためなんだ、というのが僕の結論なのです。井戸掘りは大変なことです。だから、べつにしなくてもいいのじゃないかと思ったりするんですよ。

村上　それはひとつの知恵ですね。

河合　ええ。自分は不幸だ不幸だと嘆いて、人に迷惑をかけるぐらいだったら、離婚するのもひとつの方法ではないかと思います。

村上　何度も結婚する人がいますよね、三回も四回も。

河合　そういうのは大抵、井戸掘りを拒否しているんですね。井戸を掘るのはしんどいから、掘らないであちこち別の人を探しているけれど、結局、同じような人を相手にしていますよ。

村上　一回離婚して、ほかの人と結婚しても、また初めの人と結婚する人がいますね。

河合　そうそう、結局同じことを繰り返している。昔の夫婦というのは、ただいろいろのことを協力してやって、それが終わって死んでいて、それはそれでめでたしだったんですね。いまは協力するだけではなくて、理解したいということになってきている。理解しようと思ったら、井戸掘りするしかしょうがないですね。

だと。

私は最近やっと「夫婦なのに相手のことが何も分からない」と気付き、それを嘆いていたのだが、それは当たり前なことだったのだ。

苦しむために夫婦になるんだと。

井戸掘りをするために。

井戸掘りはしんどく辛い。

だから目をつぶるか、放棄するかのどちらか。

あ、もちろん井戸掘りを続けてもいいんだけど、それをすると深い深い闇に向かってひたすら掘り続けるだけなのだ。

出口なんてない。

そんなこと…もっと早く言ってよねヽ(`Д´)ﾉﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

ま、それを分かって人間は結婚する訳だ。やはりこれも原罪なのか？

そうとも知らず、二十歳の夢見る乙女は早く結婚したがっている…（　ﾟ Дﾟ）

夢見る夢子ちゃんは玉の輿に乗りたいんだそうだ。

玉の輿って一番辛そうなんだけどな(　＾∀＾)